宮古・石垣島で自衛隊ミサイル基地建設が急ピッチで進んでいる。防衛相は、「石垣島ミサイル部隊配備 3月着工」を表明。宮古島では、保管庫と称した「弾薬庫」、隊舎、給油所、宿舎などがほぼ完成し、3月2日から資材搬入、隊員の配置が始まっている。
4日には平良港に着岸した自衛隊「軍用車両」の千代田駐屯地への搬出阻止直接行動が展開された。3月26日には編成完結式が、4月7日には開所式典が行われる予定だ。
高江・辺野古の米軍基地強化とともに進む宮古・石垣への陸自新基地建設。宮古島の陸自基地では、水陸機動団やオスプレイの運用も想定されているという。宮古島で基地反対運動を続ける清水早子さんに現状を聞いた。(文責・編集部)
島民にさえも知らされぬまま 急速に進む与那国・石垣・奄美の軍事化
宮古は、人口5万2千人の美しい海の島です。陸自基地は、空自レーダー基地がある野原部落前方で工事が始まり、3月中に先遣部隊380名が入島。防衛相も参加する開所式典(4月7日)に向けて、突貫工事が強行されています。私たちは3月4日、早朝から軍用車両の前に立ちはだかり、市内への侵入を阻止する直接行動を行いました。
基地完成後は、地対艦ミサイル部隊と地対空ミサイル部隊が入ってくる計画で、大詰め工事と物資の搬入が進んでいます。防衛省は、基地建設について「中国、北朝鮮対策」と称していますが、宮古島と石垣島の海峡は「公海」で航行は自由です。基地建設は、政府が認めている「専守防衛」を超えるものです。与那国島、石垣島、奄美大島で、軍事化が急速に進行しているのですが、一般民衆に知らされていないことが大きな問題です。
基地建設が進む千代田地区も、市街地から少し離れているため、工事の急速さを知らない住民が多いのが実状です。宮古島では「南国パラダイス」のイメージで観光開発が進んでいますが、これと矛盾する大開発と軍事要塞化が同時進行しています。
問題点噴出 水源の汚染
基地建設に反対する私たちは、情報開示請求を行い、ボーリング調査などの資料を専門家に解析してもらったところ、(1)データそのものがデタラメ、(2)建設地地下に空洞がたくさんある、(3)基地直下に断層がある可能性が高いことがわかりました。
宮古諸島は、サンゴが隆起してできた島々で、軽石のような土壌です。特に燃料タンク700トンが埋設されている地下には空洞があり、「断層」の可能性も高いと研究者は指摘しています。
地震の多い宮古島で、改良工事もされない地盤が動き、地下の燃料タンクが傾いたり、配管の不具合で燃料が流れ出し、地下へ浸透した場合、命の水である地下水が汚染される可能性があるのです。
さらに、備蓄される700トンの燃料のうち、400トンが「ジェット燃料」で、車両用の「軽油」は300トンであることもわかりました。私たちは、公開質問状を提出。防衛施設局と交渉を行い、「ヘリは来ない」という工事前の説明と違うと指摘したところ、防衛施設局は、「災害時など緊急時にはあります」と認めました。しかし、防衛省が緊急時と判断すれば緊急時になるわけですし、備蓄量から考えると、恒常的にヘリが飛来するということです。また「オスプレイ配備」について問うと、「今のところ予定はない」と答えるばかりです。
人家の隣接地に弾薬庫を建設 高まる島民の不安・不満
ジェット燃料タンクがある給油施設のすぐ隣には、「千代田地区には作らない」といっていた「弾薬庫」が建設されたこともわかりました。100メートル隣に人家があり、住民への安全配慮は全くないのです。この点について自衛隊は、「小銃・小火器のための弾薬保管庫」としていますが、建築図面を見ると弾薬庫であることは明白です。
自衛隊は、島東部(保良地区)の採石場にも弾薬庫・射撃訓練場を設置する計画ですが、市民の不安や疑問にまともに答えず、「法令に則って適正な工事をしている」とくり返すばかりで、島民の不安・不満は高まっています。
軍隊に島を売り渡した下地市長
下地市長は、数ある自治体市長の中でも最低・最悪です。防衛省が2015年5月に建設計画を発表したのが基地問題の発端ですが、数カ月前に市長が防衛省に赴き、「千代田カントリークラブ」を買い取るよう求めていたことも公然の秘密です。同ゴルフ場の持ち主と市長は利害関係にあるとも言われています。住民説明会を要求していますが、市長は一度も姿を見せていません。台風特別警報時も市長室で宴会し、公文書を改ざんし、島を軍隊に売り渡した下地市長は、安倍首相のコピーです。
私たちは、3月市議会に「地盤再調査の決議」を求める陳情を提出しています。4月7日の「開所式典」に向け、さまざまな抗議行動を予定しています。現地闘争への参加を呼びかけます。